成果発表

2024/07/22
論文

The Journal of Dermatology

Involvement of the genus Corynebacterium in the pathogenesis of pigmented intratarsal keratinous cyst
弘前大学大学院 医学研究科 皮膚科学講座 六戸大樹先生らの研究グループよりIntratarsal keratinous cyst (IKC) における炎症と細菌叢に関する論文が発表されました。

眼瞼の良性嚢胞性病変であるIKCは、通常は黄色から白色の囊胞として現れますが、まれに茶色から灰青色になることがあり、臨床診断に影響を及ぼします。この原因については明らかにされていません。著者の研究グループにおいて、この色素性IKCでは嚢胞壁下のメラノサイトが多くメラニン沈着が激しい領域に局所的なリンパ球浸潤があることを確認し、さらにその嚢胞内の細菌コロニーの細菌叢を解析しコリネバクテリウム種の存在を確認され、炎症と細菌叢に関連した色素性IKCの病因について考察されました。

当社では、論文中に示された嚢胞内の細菌コロニーを用いた16S rRNA菌叢解析を実施させて頂きました。

2024/07/22
論文

Pathology International

腫瘍免疫
Regulatory T-cells activated in metastatic draining lymph nodes possibly suppress cancer immunity in cancer tissues of head and neck squamous cell cancer
愛知医科大学 研究創出支援センター 鈴木進先生らの研究グループより、転移性リンパ節で活性化した制御性T細胞が頭頸部扁平上皮がんのがん組織におけるがん免疫を抑制することが示唆される論文が発表されました。

活性化制御性T細胞(Treg)のがん免疫を抑制するメカニズムは不明であるため、このメカニズムを解明するために、頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)患者の末梢血、流入領域リンパ節(DLN)、がん組織におけるTregと通常型T細胞のT細胞受容体(TCR)レパトア解析を行いました。その結果、がん組織と転移性DLN(M-DLN)では非転移性DLNと比してTCRレパートリーが偏っており、M-DLNとがん組織間のTregおよびCD8+ T細胞のTCRレパートリーの類似性は他の部位と比較して高いことが判明しました。これらの結果は、M-DLNおよびがん組織において、ネオアンチゲンや共有抗原などのがん抗原によってTregおよびCD8+ T細胞が活性化され、M-DLNおよびがん組織においてTregががん抗原特異的にCD8+ T細胞の機能を抑制することが示唆されます。さらに、M-DLNはがん組織にリクルートされるTregおよびCD8+ T細胞の供給源である可能性があります。これらの事より、M-DLNのTregを抗原特異的に標的とすることにより、頭頸部扁平上皮がんに対する新しい免疫療法戦略となることが期待されます。

当社では、論文中に示された頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)患者の末梢血、流入領域リンパ節(DLN)、がん組織におけるTregと通常型T細胞を用いたTCRレパトア解析を実施させて頂きました。

2024/07/01
論文

Cell Stem Cell

基礎免疫
Human iPSC-derived CD4+ Treg-like cells engineered with chimeric antigen receptors control GvHD in a xenograft model
京都大学 CiRA金子新研究室 矢野寿先生により、当社のレパトア解析を利用した論文が発表されました。
本論文では、FOXP3の発現を誘導することでヒトiPS細胞由来のCD4陽性Treg-likeな細胞の製造に成功したことを報告しています。
当社のTCRレパトア解析を用いることにより、非T細胞由来のiPS細胞から培養された細胞が、その分化の過程で様々なTCRαおよびβ遺伝子が再構成され、ポリクローナルなTCRレパトアを構成していることが確認されました。

2024/05/29
論文

nature Scientific Reports

Chronic ingestion of soy peptide supplementation reduces aggressive behavior and abnormal fear memory caused by juvenile social isolation
星薬科大学 生命機能創成科学研究室 田村英紀先生から大豆ペプチドサプリメントの慢性摂取と幼少期の社会的孤立によって引き起こされる行動障害に対する保護効果に関する論文が発表されました。
当該論文の中で、大豆ペプチドが腸内細菌叢の構成に与える影響が検討され、腸内細菌叢が代謝、内分泌、免疫、神経経路を介して脳機能に影響を与えることを示す証拠となる可能性が示唆されております。
当社では、論文中に示されたマウスの糞便を用いた16S rRNA菌叢解析を実施させて頂きました。

2024/05/07
論文

Molecular Brain

Peripheral-central network analysis of cancer cachexia status accompanied by the polarization of hypothalamic microglia with low expression of inhibitory immune checkpoint receptors
星薬科大学薬学部 薬理学研究室の須田雪明先生、濱田祐輔先生の研究グループからがん悪液質の誘発と腸内細菌叢の関連に関する論文が発表されました。
当該論文では、がん悪液質期後期のマウスにおいて腸内の嫌気性細菌、特にファーミキューテス菌が増加し、リポ多糖(LPS)の血漿中濃度が有意に上昇することにより、ミクログリア中の抑制性免疫チェックポイント受容体(PD-1、CD112R)の発現低下に伴い、視床下部の炎症状態が悪化する可能性が示唆されております。
当社では、論文中に示されたマウスの糞便を用いた16S rRNA菌叢解析を実施させて頂きました。

2024/03/21
論文

Int J Hematol.

血液腫瘍
Decade-long WT1-specific CTLs induced by WT1 peptide vaccination
新潟大学医歯学総合病院 血液・内分泌・代謝内科 諏訪部達也先生により、当社のレパトア解析を利用した論文が発表されました。
本論文では、WT1ペプチドワクチン接種後、WT1特異的CD8+細胞傷害性T細胞(CTL)がどのくらいの期間、どの程度持続するかを調べ、ワクチン接種中止後も免疫応答が10年以上持続することを報告しています。
当社のTCRレパトア解析は、混合リンパ球ペプチド培養後のWT1特異的CTLを用いて行われ、ワクチン接種から11年後のWT1特異的CTLの多様性が明らかになりました。

2024/02/07
論文

Journal for ImmunoTherapy of Cancer

腫瘍免疫
Combination of oligo-fractionated irradiation with nivolumab can induce immune modulation in gastric cancer
http://dx.doi.org/10.1136/jitc-2023-008385
福島県立医科大学 消化管外科
三村耕作 先生
福島県立医科大学 消化管外科 三村耕作先生から放射線治療と免疫チェックポイント阻害剤の複合療法にTCRレパトア解析を用いた論文発表がされました。
ご発表の中では、放射線治療と免疫療法の併用療法がおこなわれた20例の患者の末梢血を用いて、いくつかの解析手法を用いて横断的に疾患特異性や多様性をモニタリングされており、その解析の中のアプローチの一つとして当社のTCRレパトア解析を用いて、それぞれの治療介入による多様性の変動がモニタリングされております。

2023/12/27
論文

Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition

Dietary phosphate disturbs of gut microbiome in mice
https://doi.org/10.3164/jcbn.23-9
徳島大学大学院 栄養生命科学教育部
織田奈央子 先生
徳島大学大学院 栄養生命科学教育部に所属されていた織田奈央子先生からマウスの腸内細菌に関する論文発表がされました。
論文では、リン酸塩の過剰摂取が腸内細菌叢に及ぼす影響について検証されており、リン酸塩の過剰摂取は腸内細菌叢を乱し、腸管バリア機能に影響を及ぼしていることを示唆されております。
当社では、論文中のマウスを用いた16SrRNA解析を実施させて頂いております。

2023/11/22
論文

INTERNATIONAL JOURNAL OF INFECTIOUS DISEASES

臨床免疫
Pre-existing cross-reactive neutralizing activity against SARS-CoV-2 and seasonal coronaviruses prior to the COVID-19 pandemic (2014-2019) with limited immunity against recent emerging SARS-CoV-2 variants, Vietnam
https://doi.org/10.1016/j.ijid.2023.11.008
東京大学大学院医学系研究科 国際保健学専攻 発達医科学分野
モイ メン リン 先生
東京大学大学院医学系研究科 国際保健学専攻 発達医科学分野 モイメンリン先生のグループからSARS-CoV-2の論文発表がされました。
その中で、当社研究者が共同著者として研究に参画し、B細胞受容体(BCR)レパートリー配列を解析し、BCRレパートリー配列由来のT細胞エピトープを同定することで交差反応性を確認することに寄与しております。
BCRおよび主要組織適合性複合体解析の結果、病原性コロナウイルスおよびコロナウイルスのスパイク蛋白のうち、TCR認識エピトープモチーフ(TREM)がTREMペプチドのトップであったことから、SARS-CoV-2に対する既存の免疫は、感冒コロナウイルスへの曝露によるものであることが示唆されました。

2023/11/16
論文

Current issues in molecular biology

腫瘍免疫
T-Cell Receptor Repertoire as a Predictor of Immune-Related Adverse Events in Renal Cell Carcinoma
https://doi.org/10.3390/cimb45110561
順天堂大学医学研究科 泌尿器外科学講座
小林拓郎 先生
順天堂大学医学研究科 泌尿器外科学講座 小林拓郎先生より腎細胞がんに対して免疫チェックポイント阻害剤投与時の免疫有害事象の予測バイオマーカーとしてのTCRレパトア解析の有用性について論文で発表されました。
論文では末梢血を用いた当社のTCRレパトア解析が利用され、irAE発症リスクを同定することが患者の転機を最適化する上で大変重要であり、TCRレパトアのクローナリティ―が免疫有害事象を予測するバイオマ―カーとしての可能性があることを示されております。

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